女子とぶつかっただけで嬉しくなるっていうやつだ。

学生時代のときの俺は、まずぶつかったら睨んでたな。



「ちょっと…」



落ち着く為に紀一をからかってこようとした。

…手、離してください…。



潤んだ瞳で。


熱い手で。


微笑むなんて。


俺の腕を引っ張った。



そんで倒れ込んで…っていう展開にはならない。

何とか、倒れずに済んだ。



「どうかしました?」



なんて聞けば、またニコッと笑う。

どうしたんだ…。


しばらくすると、ぽつりと何か言った。


耳を近づけて聞こうとすると、頬に唇が当たった。




…いや、事故!!
事故だろ、これは!

く、組長も熱でボーッとしてるし!


事故…事故だろ、これは…。