「んだよ、ゴリ男!今、お前と話してる暇は…」



『今、どこにいる?』



「あ?家だ」



『…そうか』



「んなことより、阿波に代われ!つーか、医者連れてこい!」




気付いたらマジギレしてた。

でも、仕方ない。


組長にもしものことがあったら…。

俺は…。



「おい、聞いてんのか?」



『今すぐ、そっちに医者を送ろう』



阿波が力強く言った。

…何か変だ。


電話を切ったあと、考え込んでいると紀一が組長をソファーに寝かせた。


……まぁ、ゴリ男のことより、組長のことを考えよう。


熱も高いみたいだな…。



「紀一、体温計探せ」



紀一がパッと体温計を出した。

計ってみれば、38.6度。


…元旦に風邪引いてしまうなんて…。



「…笹河さん…」



「はい」



組長が、だるそうに俺を見てつぶやいた。


額をタオルで拭くと、ニコッと笑った。