「おいっ、車出せ!」



紀一に叫んで、組長を呼んだ。

反応はなく、ただ苦しそうにしていた。


風邪…っぽいな…。

でも、病院……に連れていきたいが、やってるわけがない。


…待てよ?


確か、あの病院なら開いてるが…ダメだな。

あんなとこに連れていっても、余計酷くなるな。



「…阿波だ…」



阿波のとこに、医者がいたはずだ。

電話してみるか。



「……出ろよ」



なかなか出ないことと、簡単な処置しかできない自分に苛立っていた。



『もしもし?』



「俺だ、今すぐお前んとこの医者貸してくれ」



『それはいいが…どうした?』



「組長が倒れ…」



『おい、笹河』



…あ?

阿波の声からゴリ男の声に変わった。