「…え?」



「選択肢は2つ。行くか、行かないか…決めろ」



「嫌です!何で!?」



「じゃあ、何で行くんだよ」



「それは…」



「そいつと話して、都合よく解決できると思ってんのか?はい、別れましょうだなんてできるって思ってんのかよ!」



できるわけないだろ?

きっと、お前は揺れるだろ?



「…だから、行かせたくなかった…。でも、これはお前が決めることだ。どうする?」



俺を選んでほしかった。


俺だけを見てほしかった。

ただ、それだけだったんだ。



「笹河さん…」



「……ほらよ」



金とパスポートの入ったバッグを渡した。



「…最後に」



抱きしめて、キスをした。



もう、大丈夫だ。