「お…母さん…いや、訳あってね。いやいや、あたしは……黙れ、親父!」



イライラしながら、話す蒼空を俺達は見ていた。

何の話をしているのか気になる。


もしかして、戻ってこいとか言うのか?

いや、渡せない。



「あたし、日本がいい。日本じゃなきゃ嫌」



微かに聞こえる、蒼空の母親の声。





『結婚は?ライ君、どうするの?』





………結婚。


何か言い返すかと思えば、黙ったままだ。


なぁ、行かないよな?


ライってやつに会わないよな?


結婚なんて…しないだろ?



「………」



『この結婚、蒼空が決めたんじゃない。大好きな人ができ…』



「やめてよ!」



わかってる。

俺だって、好きな人がいたんだ。