ここでこの手を離せば、きっとこの挟まれた所から逃げ出せる。


でも、そんなことできない。


どんなに苦しくても、こいつの手を離したくない。


好きだ。

それだけじゃ足りない。

愛してる。

それでもまだ足りない。



身体も心も、蒼空でいっぱいにして、蒼空の中も俺でいっぱいにしたい。


そんなこと、口が裂けても言えない。


俺は、千波に見えないように蒼空にキスをした。


伝わってほしい。


「続きはまた後で」



いつもの強がりを見せて、千波が持ってきたお菓子を食べた。