「千波」



「ん?」


ここから先へはいけない。

あいつは本気で俺を…。



「あ、空ちゃんだ」



空が白い着物を着て、走ってきた。

麻波も、嬉しそうに一緒に走ってきた。


『大切なもの』


そうだ。
こいつらは、大切なんだ。


「千波、俺…やっぱ帰る」



「は?」



「それと、しばらく組に近づくな。電話もメールも。誰かに俺のこと聞かれても、知らないって言え」



空達が来る前に言った。

こんなことしか考えられない。

信じられないという顔で俺を見つめてくる千波。

わかってくれ。