俺は千波が走っていく後ろ姿を見つめながら考えた。


どう断る?

…キッパリと断るべきか、優しく断るべきか。



千波が持ってきたココアの粉をマグカップに少し入れてお湯を入れた。


甘い匂いが部屋中に。



久しぶりにココアを飲む。

一口飲むと、この前の『砂糖味コーヒー』よりはマシだと思えた。



「…ん…うおっ!!」



ガチャン。


マグカップを床に落としてしまった。


久しぶりにスーツを着ていたからか、動きが悪い俺。

スーツにもココアが…。



「あっっちぃ~…」



割れたマグカップを拾ってから、着替えようと立ち上がった。