「わたしがその気になって二人きりになってるのに、最後までしなかったのは先生だけだよ。」
という言葉から始まったその子の話は、ただ聞いているだけしか仕方なかった。
男の子たちはさ、まあ、ちょっと勇気がいるみたいだったけど、ガマンできなくなるみたいで、どんなにまじめな子でも、二人きりになったら、もうこっちのもんだったよ。
そう。
あのころは、なんだかそういうことがしたくて仕方なくて、あの子はどんなんだろう、この子はどうするんだろうって、男子を見ると、そういうことしか考えていなかった。
でも、あんまり知らない人はイヤだっかたらね、ねらったのは学校の人ばかり。
同級生はもちろん、先輩も若い子も、親友の彼氏でも、その気になったら逃さなかった。
へえ。そうなのか。ボーボワールね。なんだか大学の授業で少し名前を聞いたような気もするけど。そんなこと言ってるのか。
それはあたりだと想うな。女は、男と会うために一歩動き出したら最後まで考えているよ。
きっとみんなそうだよ。
その覚悟ができなけりゃ、会えないからね。
期待していてもしていなくても。
わたしは、最後までいってもいいと思わなければ、ぜったい二人きりにはならない。
反対にいえば、二人きりになるときは、最後までいくのが当たり前だとほとんど思っていた。
男はそうじゃないって。うそだろ。そんなのうそ。
たぶん、そんなの先生だけだよ。先生は変人なんだよ。
ちがうって。あなただけ。あなたが変人。
ほかの先生?ほかの先生だって、みんな、男子と同じだったよ。
放課後に理科準備室に手伝いに行ったら、妙な気分になって、ちょっと挑発してみたら、すぐだったよ。
体育館の用具室で、いきなり、バンって壁に押し付けられてされたこともある。好きな先生だったけど。
それなのに、うじうじとしてごまかして、いつもはぐらかしてたのは、先生、あんただけ。
そうだよ。あのときのスカートも、あのときのシャツも、ぜーんぶわざとだよ。わかってなかったのか。
ちょっとぐらい、言葉が荒れたってがまんしろ。ずっとその気だったのに、そのまま卒業させやがって。
そのあとも、せっかく会っても、いつも二人きりになるのを避けてきたくせに。
この前も、あそこまでいったくせに、やっぱりダメだなんて、いつまでも女に恥かかせんじゃないよ。
「えっ?女の恥?そんなのあるのか」
うるさいよ。もう黙ってろ。先生がべらべらしゃべると、いつも調子狂うんだよ。
「待て、ま、ま・・・・・」