「傷は?」

「・・・大丈夫だ。」

「なら良かった。」

「優・・・」

「ん?」

「一体何が起きてるんだ?」

「・・・俺にもさっぱり分からない。ただ・・・」

「ただなんだよ。」

「理解できる範囲以外の事が現実に起きてるのだけは分かる。」

「・・・」

「とりあえず家に戻ろう。傷も気になる。」

「そうだな。」

何が起きててどう判断していいのかも分からない、ただ俺が蘭を見間違うはずもない。
あれは間違いなく蘭だった。

「とりあえず服脱げ。」

「そんな趣味俺にはないぞ。」

「は?俺だって女には不自由してない・・・ってかそんな気ねーよ!」

顔を見合わせて苦笑した。

「そんな冗談言えるって事は、まだ安心だな。」

「少し落ち着いたよ。」

「良かった。服に血がにじんでるからとりあえず脱げ。」

「分かった。」

服を脱ぐと優は傷の手当てを始めた。

「あ~やっぱり傷口開いてんな、二階から飛び降りちゃってんだかんな。」

「とっさに体が動いてた・・・」

「だろうな。」

しばらく沈黙になった。

「よし手当て終了!さすが病院長の家だな!道具がそろってら!」

「無駄にな。」

「いやいや無駄じゃないだろ!今役に立った。」

「なるほど。」

「親父さんに感謝だな。」

「まーな。とりあえず部屋行くか。」

「だな。」