目を疑った体が硬直する。
そこに見えたのは蘭。

「蘭!!!」

言葉と同時に体が動いた。
二階から飛び降りた、スローモーションのように見える風景、体が重く感じる、早く早くと心ばかり焦る。
足が地面に着くと同時に足に痺れと背中に激痛が走った、でも止まらず止まろうともしないまま重く感じる体を引きづりながら塀を越えた。
今ここに見えた蘭の姿どころか人すら一人もいない。

「蘭!!蘭!!」

呼びながら回りを見渡す。
どこだ?間違いなく蘭のはずなんで消えた?

「おい!竜也!!」

「優!蘭はどこに消えた?」

「落ち着け竜也!!」

「いいから蘭を!!」

「竜也!!!!」

優に肩を揺さぶられた。

「優!蘭がいたんだ!」

「おい!!!しっかりしろ!!俺の話を聞け!」

「そんな場合じゃないだろ!!蘭がいたんだよ!!」

ガッ!

鈍い痛みと同時に地面に座り込んでた。

「竜也、落ち着いてくれって・・・」

優が肩に手をかけながら言った言葉で少し気持ちが落ち着いたけど、胸が嫌な気持ちに支配されている。

「でも確かに蘭はいたんだ。」

「あぁ俺も見た・・・だからこそ落ち着かなきゃいけないんだよ、ありえない事が起きてる。」

「蘭は・・・生きてるのか?」

「・・・蘭は死んだんだよ。」

「じゃあ今みたのは誰なんだ?間違いなく蘭だった!」

「分かってる。でも今はとりあえず落ち着け!蘭なら逃げる理由がない。」

優に言われた言葉に涙が出そうになった。
優に手を引かれながら立った。

「痛かったか?」

優に言われて改めて頬に痛みを感じた。

「痛くないわけねーだろ。」

「だよな。」