手早く乗り物に乗って向かうって手もあったけどなんだか歩きたかった。
痛みもあったせいで蘭の学校まで一時間半近くかかって優と歩いてきた。
校門の前を見回す、何もなかったような静けさ。

「まだ授業中のはずだから静かだな。」

「あぁ。」

校門前に昨日刺された場所にまだ血痕が残っていた。
気にしなければ分からない程度だからほとんどの人は気にしないだろう。
後ろから刺されたって事は門が閉まっていたから門の間から刺したとしかありえない。
だから傷が浅かった?
足音すらしなかったのは最初から隠れていた?でも時間三十分前についている状態で相手もずっと隠れていた?
さすがに気付きそうだと思うと混乱する。
疑問ばかり沸いてスッキリしない。

「優。」

「ん?」

校門から上半身乗り出してあちこち見ている優に声をかけた。

「一つ思い出したんだけど、昨日この正面の道歩いてきてた奴いたろ?」

「あぁいたな。」

「あの道みたいんだけどいいか?」

「いいぞ。」

校門から体を優は下ろした。

「昨日俺が刺された後すぐ見たら歩いてた奴消えてたんだよ。」

「お前刺されてたのにそんなとこまで見てたの?」

「気になったから。」

「相変わらず冷静だな関心するよ。俺なんかパニックってたし。」

優と歩き始めた。
その道は両側でかいビルが建っていて塀に綺麗に囲まれていた。

「てかこの塀俺達でも乗り越えられないぞ。この塀乗り越えたって事か?」

「長い塀だから走って引き返すほどの時間だってなかったはずだ。」

「じゃぁ乗り越えたか?消えたか?相手は蜘蛛男か?漫画じゃあるまいし。」

「だよな・・・でも消えてたんだよ。」

二人して黙って塀を見上げてた。

「・・・竜也。」

「ん?」

「この件関わらない方がいいんじゃないか?」

「・・・」

「俺嫌な予感する。」