あれから1年。奏聖と上下関係になった真琴さんより、俺がここに来れるようになった。

 彼女の望んだもの【自由】。忌々しいものを全部捨てて、白で生きたかった。って書いてあった。 俺が見れたのは、あいつがいなくなって7年後だったが。

机から見つかったノート。彼女の昔が書かれていた。健人さんは一回見ていたのか、寂しそうな、痛ましそうな顔をしていた。人体実験と―――の事は衝撃的だった。現代にもあんなのがあったなんて……

「う、う~ん」

起きたか? やっとだ。やっと話せる。俺には話した記憶があまりないから、ドキドキする。

「起きた?」
「……ダレ?」
「はっ?」

え? 覚えてない? 予想外なんですけど……

「……隼人?」

良かった…覚えていたらしい。

「でかっ」
「そこかよ!!」

久しぶりに会って一声が「誰」で、二声めが「でかっ」っておかしくね? 
 感動の再開のはずだから、そこ。

「ふふっ。真琴に似たな?」
「うっ……」

泣きそうになった、久々と言うより、懐かしい気がした。

「おまえ、【ヴェリノウス】のこと覚えているか?」
「えっ?」

覚えて、ないのか?