「あ、もう10分経ったので下に迎えに行ってきますね」

そう言ったお父さんにみんながん?ってなった。
 
「え? 別にここに来たら電話が鳴るからいいんじゃない?」

そう言ったら同意見だったようでみんな頷いた。
 それを見たお父さんが、苦しそうにハハッと笑う。

「いえ、きっと騒ぎになってしまうのでその前に……」

ピリリリリリッ

電話が鳴り健人がハイ、と出た。

「副社長~!!助けてください!!」

電話口からそんな大きな声が聞こえた。

「え?」

「はい?」

「何です?今の」

「・・・・・・」

思い思いに言葉を発した。隼人は目をパチパチしていた。ただお父さんだけは、

「遅かった…………」

そう溜息を漏らした。

 ドーユーコトですか?

健人が慌てて電話の向こうの人に聞く

「何があったんですか?!」

「な、何かわからないんですけど、いきなり桐生部長を出せとか言って、お名前を聞いても教えてくれないんですっ。それからうるさくてっ、他のお客様が」

 相当困惑しているらしい。いつもは冷静らしい受付嬢が焦っている。

「ハヤクソウセイヲダサンカイ!! ワシハヨバレテキタッテイットルヤロ!!」

そう小さく電話から聞こえた。聞こえると言う事は相当叫んでいるのだろう。ちらりとお父さんを見る。
 苦笑しながら言った。

「電話、変わってください」