「兄ちゃんってさー、あの子のこと好きなの?」

「またそれかよ、いい加減鬱陶しいぞ。」

「だって、一度も真面目に答えてくれてないじゃん。」

「知らねえよ。」

「兄ちゃんこそ、その“知らねえ”は何度目?15回目だよ。」

「…。なんて、」

「は?」

「今度はなんて答えれば良いんだ?この会話は今回で16回目だよ。」

「なにいってんの兄ちゃん。“この会話”は初めてするよ?」

「あいつはお前のことが好きなんだから、それでいいだろ。何度言わせるん
だ。」

「そんなこと言われたのも初めてだけど、ふぅん、そう。兄ちゃんはあの子のこ
となんとも思ってないんだね~」

「今はな。」

「…兄ちゃん、さっきから変だよ。俺ら今も昔も、“昔”なんてないじゃん。」

拝啓○年前の貴方へ。

寝苦しい夜はまだ、続きそうです。