「……え?」
「寒い。このままじゃ僕……凍え死んじゃうよ?」

確かに、捨て猫だったら飼いたい、とは思ったけど……これは明らかに人間。
「ごめん、猫だったら飼おうと思ったんだけど……」
「じゃあ、猫になる」

彼はまるで当然のように言った。
「む、無理でしょ……」
「ううん、なれるよ。……ねえ、名前は?」

名前……
「南智、だよ」
「南智……じゃあ今日から僕は、南智の猫」

誰も飼うなんて、言ってない……言おうとしたら、頬に冷たい感触。
空を見上げたら……真っ白な雪が、ふわふわと舞っていた。

「初雪……」

本当に、寒くなってきた。
確かに、このままじゃこの子……本当に凍えちゃうんじゃ……。


「……ねえ君、名前は?」
「んー……南智が決めて」
「じゃあ……ネコでいい?」
「いいよ、何でも」


私は、彼に手を差し出した。

「一晩だけ、だよ?」