不思議に思いつつも、じーっと五十嵐クンを見つめている私。
すると、とんでもないことに気がついてしまった。
今私の目の前にいるのは、確かに五十嵐クン。
それは絶対に間違いない。
だって、私が大好きな五十嵐クンを見間違えるはずがないもん。
でも…。おかしい。
おかしすぎる。
五十嵐クン、少しも動かないんだもん。
表情は、私が目を瞑る前に見た、あの笑顔のまま。
私が大好きな、五十嵐クンの笑顔。
それから、声も。
「美紅」って私の名前を呼ぶ声も、確かに五十嵐クンのもの…なのに。
…口が、動いてない。
声と、表情があってないよ…?