その時だった。

ヘリの中から一陣の風の如く飛び出してくる影があった。

ゴロウだ!

彼は主人の危機に躊躇う事なく走り出し、榛原を牽制する。

…ゴロウに気をとられ、鬼島の絞首が疎かになる榛原。

大きく口を開け、唸り声を上げながらゴロウを威嚇する。

それこそが最後のチャンスだった。

「榛原、これでも食らえ!」

鬼島は懐から取り出した『それ』を榛原の口腔部に押し込む!

それは反政府組織のアジトから持ち出してきたグレネード(手榴弾)。

グレネードを押し込まれ、流石の榛原も怯む。

その隙に。

「安らかに眠れ」

グレネードのピンを外し、榛原の腕を振り解いた鬼島は、素早くゴロウと共に距離をとった。

直後。

「!!!!!!!!!」

グレネードの爆発と共に、榛原のゾンビとしての肉体は粉々に吹き飛ぶ!