「しつこい野郎だ。死んでもまだ俺達の脱出の邪魔をしてぇのかよ」

吐き捨てるように天坏が言う。

が、その言葉に。

「そう見えるかしら?」

深幸が異を唱えた。

「私には…彼が助けを求めているように見えるわ」

「助け?」

天坏の問いかけに深幸は頷く。

「ええ…『もう眠らせてくれ』『こんな運命から解放してくれ』ってね…」

この街をこんな姿にしたのは紛れもなく榛原自身だ。

その咎を受けるのは当然と言えるし、自業自得と言える。

しかし、死体となってもその身を辱められ、核の洗礼を受けて焼き尽くされるまで横になって眠る事すら許されない。

彼を知る者としては、その結末はあまりに不憫に思えてならなかった。