やがて鬼島のアサルトライフルも、ハンヴィーに搭載された機関銃も弾丸が底をつく頃。

「見えてきました」

ナビゲートを務めていた夕映が指差す。

在日米軍基地。

脱出の唯一の希望であるその建物が、間近に迫ってきた。

「もうすぐよ!頑張って!」

車の窓から顔を出して、深幸が鬼島に叫ぶ。

「ああ!」

鬼島が呼吸を乱しつつ、ゴロウと共に走る。

ゾンビの群れは尚も増える一方だった。

武器がない以上、これ以上の攻撃は不可能だ。

ひたすらに走り、距離を引き離す他はなかった。