瓦礫や破片が散乱する悪路を走るハンヴィー。

鬼島とゴロウが後に続く。

走りながら時折振り向き、鬼島は銃を撃つ。

背後からは無数のゾンビ達が追ってきていた。

足こそ遅いものの、撃っても撃っても際限なく現れる。

「ちっ」

すぐにマガジン内の弾丸が切れ、鬼島は舌打ちしながらマガジンをリロードした。

「鬼島さん!」

ハンヴィーの車体上部に取り付けられた機関銃で、山田も援護する。

鬼島の持つアサルトライフルよりも強力な銃だ。

その銃撃は瞬く間に亡者の群れを一掃する。

それでも全てのゾンビを殲滅する事は難しい。

まるで無限に存在するかのように、屍達は唯一生き残っているのであろう鬼島達に迫ってくる。

「地獄だな…」

車内で颯太が呟いた。

こんな地獄を人の手で作り上げてしまったのか。

欲をかいた一部の人間の為に…。

そんな事を思うと、戦慄せずにはいられなかった。