「核ミサイルだって!?」

颯太が思わず声を上げる。

確かに美原市大災禍の時も、街中に蔓延したゾンビ達を殲滅する為、核ミサイルが撃ち込まれた。

しかしあの時はバリケードを設置していた自衛隊や警官隊が撤退したのを確認した上での発射だった。

なのに今回は違う。

自衛隊の鬼島がこの場にいる。

もし核ミサイルを発射するのならば、彼に事前に撤退命令が無線で届く筈だ。

「考えられるのはひとつだな」

颯太が歯噛みした。

「政府は核ミサイルで生存者もろとも、証拠の隠滅を図ろうとしているんだ…俺達みたいな真相を知っている人間が無事に街を脱出するのは、都合が悪いからな…」

このサイレンはせめてもの体裁。

何の予告もなく核ミサイルを撃ち込めば、国内外から批判を浴びる事になる。

それを取り繕う為の、形だけのサイレンなのだ。