話がついた所で、再び一向は米軍基地に向かおうとする。

その時だった。

「ん?」

鬼島がゴロウを見る。

…ピンと耳を立て、警戒したように顔を上げるゴロウ。

何かを察知したようだった。

「どうしたゴロウ…」

呼びかける鬼島。

そんな彼の耳にも、『音』が聞こえてくる。

彼だけではない。

颯太にも、深幸にも。

確かに音が聞こえた。

低く地の底から聞こえてくるような、獣の唸り声のような音。

これはサイレンだ。

「…ねぇ、この音…!」

純が呟く。

「ええ、『あの時』と同じ…」

美原市の生存者達は、この音の意味するものを知っていた。

山田が小刻みに震えながら言う。

「核ミサイルの発射を知らせるサイレン…!」