場面は再び榑市に戻る。

榛原の死を見届け、鬼島は深幸に声をかける。

「あんたは、この街の人間か?」

「そういう訳ではないんだけど…」

タロットカードをポケットにしまい、深幸は肩にかかった淡い色の髪を片手で払いのける。

「ちょっと人を探しててね…早川 理子って女の子を知らない?高校生なんだけど」

「理子?」

鬼島は鸚鵡返しに呟く。

「その娘なら、ちょうど俺達と行動を共にしている」

「あらっ」

深幸は鬼島の言葉を聞いて目を丸くした。

「そんな奇遇もあるのね。占い師を始めて長いけど、自分がこんな導きに出会ったのは初めてだわ」