何とか深幸を助けたい鬼島達。

意地でも逃げ延びようとする榛原。

緊迫した状況。

何故こんな状況になっているのかはわからない。

が…。

「まぁまぁ、少し落ち着きなさいな」

この状況下、しかも状況が理解できていないにもかかわらず、深幸は飄々とした態度で言う。

「うるせぇな女!てめぇは黙ってろ!」

「ねぇ」

榛原の怒声もどこ吹く風、深幸はマイペースで、ジーンズの後ろポケットから大アルカナ22枚を取り出した。

「ちょっと運試ししてみない?」

「黙れって言ってるんだ!」

銃口を強く押し付ける榛原。

「あーあ…」

まるで動じないように、深幸は声を上げた。

「駄目ね、あなた」

「あぁ!?」

激昂する榛原に、深幸は薄く笑った。

「そんな余裕のない男が、この修羅場を生きて潜り抜けられると思って…?」