だが、榛原は往生際よく投降などしない。

素早く踵を返し、その場から逃走!

「止まれ!」

鬼島の威嚇射撃をものともせず、榛原は製薬会社の敷地内を抜け出して細い路地へと入っていった。

「くそっ!くそっ!」

鬼島達の追跡の足音が聞こえる。

憎悪と怒りに呪詛を吐きながら、榛原は懐に隠し持っていた拳銃を取り出した。

途中までは計画通りに上手くいってたのに!

どこからこんな事になっちまったんだ!

全て上手くいけば、俺は報酬をたんまりもらって海外でバカンスでも楽しんでた筈なのに!

こんな所で捕まる訳にはいかない。

入り組んだ路地をひたすらに走り続け、曲がり角を曲がった所で。

「きゃっ!」

榛原は探索途中だった深幸と鉢合わせした。