そこまで堕ちたか…。

鬼島は榛原を憐れにすら思う。

自衛隊に残り、厳しい訓練に負ける事なく努力を続けていれば、榛原もまた鬼島と肩を並べられるほどの指揮官になれていたかもしれないのに…。

「その同情の目が気に入らなかったんだ」

自分を見る鬼島の目に、榛原は苛立ちを露わにする。

「てめぇのその上から目線は吐き気がするぜ!」

「…榛原」

鬼島は改めてアサルトライフルを構え直す。

「このまま投降するならよし…抵抗するなら、俺はこの場でお前を撃たねばならん」

国防の要たる自衛隊員として。

かつての仲間とはいえ、榑市にここまでの甚大な被害を与えた榛原を許す訳にはいかない。

鬼島の言葉には、そんな自衛隊員としての矜持と責任が込められていた。