「奴がこの街のゾンビ蔓延の元凶だ」

理子に肩を借りながら、颯太が言った。

「奴は政府に命じられて寄生虫をアメリカに持ち出そうとしていた…更には製薬会社で密かに研究されていた、軍事転用の為の改良型寄生虫も回収しようとしていた。俺はそれを奪って街の外に持ち出そうとした為に狙われたんだ」

寄生虫の軍事転用。

かつて陰島や美原市から生還した者達には、これがどれ程恐ろしい事か理解できるだろう。

颯太の言葉を聞いて、その場にいた全員が騒然となる。

「本当なのか、榛原」

鬼島の言葉に。

「何か問題あるか?」

悪びれもせずに榛原は言った。

「アメリカが欲しいって言うからそれに応じたまでだ。後の事は俺の知った事じゃねぇな」