「榛原…!」

アサルトライフルを構えたまま、鬼島は小さく呟く。

「お前…こんな所で何をやっている?除隊したとはいえ、無抵抗の民間人に銃を向けるなど…」

「おーおー、相変わらず自衛隊員の模範解答だねぇ」

憎悪を剥き出しにして、榛原は鬼島を睨んだ。

「てめぇは同期でも出世頭だったもんなぁ。今は小隊長か?」

「…いや…分隊長を務めている」

「ケッ!」

鬼島の言葉に、榛原はますますふてぶてしさを露わにする。

「鬼島さん…?」

一体榛原とはどういう関係なのか。

純が問いかける。

「奴は…」

鬼島は苦々しく答える。

「奴は榛原 保。俺と同期だった元自衛隊員だ。美原市大災禍での任務後、突然何も言わずに除隊してしまったので気にはしていたんだが…」