懸命に颯太を助けようとする理子の姿。

榛原はそれを冷ややかな眼で見つめる。

「馬鹿が…俺がそんな事黙って見逃すと思うかよ?」

狙撃銃を静かに構える榛原。

その照準は、何と颯太ではなく理子に向けられている。

「しゃしゃり出た事を後悔するんだな、お嬢ちゃん」

ニヤリと笑みすら浮かべて、榛原がトリガーに手をかける。

しかし!

「つっ!」

その榛原の手元に銃撃!

手を撃たれた彼は、狙撃銃を取り落としてしまった。

「誰だ!」

銃撃された方向を見る榛原。

そこには、一頭のシベリアンハスキーを連れた迷彩服の自衛隊員が立っていた。

「あいつは…鬼島…鬼島 剛か…!」