それは、製薬会社の正面玄関から走り出てくる一人の男。

「え…」

その見知った姿に、理子は目を丸くする。

「颯太さんっ?」

何故彼がここにいるのか。

一体製薬会社で何をしているのか。

必死で走る颯太は、切羽詰まっているように見える。

とにかくこんな危険な場所にいてはいけない。

「颯太さん!」

ハンヴィーのドアを開け、車内に招き入れようとする理子。

その目の前で。