「止めてくれ」

鬼島の言葉で、奏がハンヴィーのブレーキを踏む。

ヘリの入手の為に在日米軍基地へと向かっていた鬼島と純達一行。

その時偶然通りかかった製薬会社の前で、鬼島はそんな事を言ったのだ。

「どうしたんですか~?」

鬼島の顔を覗き込む山田。

「…銃声が聞こえなかったか?」

耳を澄ませるようにしながら、鬼島が言う。

その後部座席では、人間よりも五感が発達したゴロウが耳を立てている。

彼も何かを聞き取っていたようだった。

「誰か生存者がこの近辺にいるんでしょうか…」

夕映が呟いたその時だった。

「あっ!」

奏が何かを見つけて声を上げた。