突然凶暴なエンジン音が響き渡る。

ゾンビの群れと鬼島達の交戦の中に割り込んできたのは、モスグリーンの大型ジープだった。

ハンヴィー。

アメリカ軍が使用している高機動多用途装輪車両だ。

ジープといっても装甲板や車体上部にM240機関銃が取り付けられているなど、その姿はちょっとした装甲車や戦車ともいえる。

いきなり割り込んできたその一台のハンヴィーは、ゾンビ達と鬼島達を遮るように停車。

「発砲して!」

車内から女の声が聞こえたかと思うと、小太り…いや大太りの迷彩服の男が車体上部のM240機関銃を構え、ゾンビの群れに向かって銃撃を開始する!

見る見るうちに殲滅されていく亡者の軍勢。

「……」

何が起きたのか理解できず、唖然とする鬼島とゴロウの目の前で、ハンヴィーのドアが開いた。

「乗って。狭い車内で申し訳ないけどね」

車内からそう告げたのは、大太りの男と同じ迷彩服を身につけた女性だった。