再び脱出の経路を探そうと歩き始めた時だった。

「!」

ゴロウが身を低くして唸り始める。

犬の嗅覚が、あの腐臭を逸早く察知したのだ。

周囲の建物の陰から、次々と姿を現すゾンビ達。

前傾姿勢をとったゴロウが、ゾンビ達に飛びかかろうとするが。

「ゴロウ、待て!待てだ」

鬼島は必死にゴロウを制する。

迂闊にゾンビに咬み付きでもしたら、その拍子に寄生虫を植えつけられる可能性がある。

これ以上仲間を失いたくない。

「ゴロウ、奴らを撹乱しろ!走り回って注意を引くんだ。捕まるなよ!」

鬼島が指示を出す。

その言葉を理解したかのように、ゴロウは自慢の脚力でゾンビ達の群れを掻き乱すように走り回った!