両親を亡くしてから僕は京都の親戚の所に預けられることになった。
 両親が亡くなってから久しぶりに学校へ行った。クラスのみんなは僕が両親を亡くした事すら知らないだろう。いつもと変わらない風景である。
1時間目が終わり先生から呼び出しの声がかかった。
職員室に向かうと先生と知らないおばさんが立っていた。
「なんでしょうか?」
僕は当たり前の質問をしてみた。
すると先生の隣にいたおばさんが口を開いた。
「武志君、始めまして。あなたの母の妹です。」
「親戚みんなで話あったんだけどね。武志君を預かりたいって遠い親戚なんだけど言ってるの。だから明日からその親戚の所に行きなさい。」
「はぁ」と言われるままに返事をした。
すると母の妹は1枚の紙切れを僕に差し出した。
「これ親戚の住所と連絡先だから」
と言って紙切れと交通費を僕に渡してくれた。
「じゃあがんばるのよ」
と言って母の妹は先生に1礼して帰ってしまった。
「福永、寂しくなるな。でも頑張ってこいよ!」
と先生に肩をたたかれ立ち去っていった。
僕はまったく今の現状を把握できていなかった。
なぜなら、その紙切れに書かれた住所は京都になっていたからだ。
僕が今住んでいる場所は東京の飯能と言う町で家で隔離されていた僕は東京から外に出たことがない。むしろ飯能の町からも出たことはないからだ。
そんな僕がいきなり知らない人の家に住みまったく知らない土地で生活するなんて考えたこともなかった。
と、言うより今まで考えると言う事すらしたことがない。