「以前お会いしたことがあるってことですか?」



「会ったほどじゃないんですぁ。遭難で家族がスキー場に集まったときお見かけしたぐらいなんですがね


ひどく暴れていてお兄ちゃん、お兄ちゃん叫んでいたんで印象強かったんですぁ



実はあの遭難で起こった裏の真相ってのも少しわかったんで――――ごふっ!!!」




「!!!」



バタっと音をたて、岸沼さんが背中から血を流し倒れた



そこにナイフから血をしたたせ、立っていたのは顔に怒りみちあふれた恵だった……