陸と私の家は、ビックリするくらい近い。小学校は違ったけど、中学校は同じだった。

陸・・・。

中学の頃は陸上しかなくて、ひたすら走って周りのことなんて気にしてなかった。

「ねぇ、陸・・・」

「ん?」

私が話し掛けると、陸はいつもどおり返事をしてくれた。

「陸がさぁ、陸上はじめようと思ったきっかけって何?」

私のいきなりすぎる質問に、陸は慌てもせず、ゆっくり口を開いた。

「ただ一つ」

「何?」

そこで、陸はニヤリと笑った。

「ヒ・ミ・ツ」

「えー」

「また教えてやるよ」

「うん」

なんだー、てっきり簡単に教えてくれるのかと・・・。でも、陸のことだから
しょうがないか。