「お兄さんが奢ってあげるから、
好きなもん選びんしゃい!」


ニコニコしながらカゴを見せると、
その子は嬉しそうに少しだけはにかんだ。




あらわになったその顔は、
その声にぴったりの甘く可愛らしいもので、ますますおれの胸は高鳴る。




可愛い可愛い。
なんでも買ってあげる!



若干危ない思考になりながら、
その子の手を引いてコンビニ内をぐるっと一周する。


最初は遠慮してたものの、パンの棚の前に行くと、ポトリポトリとパンを指で摘んではカゴの中に入れていく。

クリームパン、メロンパン。



どれもがその子のイメージにピッタリと合いすぎていて、また笑いが込み上げた。


「甘いの好きなんだ?」


はにかみながら、コクリと頷く。

この生き物の存在が犯罪なんですけど?




一人悶えていると、男は一点を見つめて立ち止まる。


視線の先には、
パックに入ったショートケーキ。




「ケーキ、好きなの?」

「……すき~。」


これは、多分。
出会ったのは必然だったんじゃないかと。




勝手にそう思い込んで。



そっとケーキに伸ばそうとした手を、おれは咄嗟に掴んでいた。


その子は不思議そうな目でおれを見る。


「おれんちにケーキ腐るほどあるから。
うちで食お?」


焦ったように早口で告げれば、
その子はまた柔らかく笑った。