「ばか……よくそんな恥ずかしいこと、真顔で言えるわね…。」
井原さんは柄にもなく女の子らしいちっちゃい声で呟いた。
それよりも。
「恥ずかしいこと……?」
なんの話だ。
意味がわからない。
すると井原さんは、
ぼそぼそと喋り始めた。
「私に合わせてくれるなんて、
桃山くんのくせに格好良すぎなのよ」
「桃山くんのくせにって…失礼過ぎやしないか井原さん」
「だっていつも頼りないもん」
「えーまじすか」
すると井原さんは僕の顔をまっすぐ見つめてきた。
「ありがとう……気を使わせといて言うことじゃないかもしれないけど……嬉しいよ」
そう言って井原さんは
にっこりと笑った。
やっぱり井原さんは
気は強いけど素直で、
可愛い子だった。