「その…井原さん」


「何よ」


「なんで僕に話しかけるの…?
みんなと一緒に話した方が楽しいと思うんだけど……。」


「嫌よ。私は桃山くんと話したいの!てか名字可愛い似合わねー!」


なんて失礼な子なんだ…!
しかも自覚していただけに
恥ずかしいぞ。


「ねー私桃山くんのこと好きなの付き合って結婚して嫁に来て」


「井原さん申し訳ないけど僕の性別を考慮したお願いをしてくれるかな」


「今度桃山くんの家に遊びに行きたい」


「そんなの困るよ掃除しなきゃいけないじゃん」


「私が掃除したげるから」


「掃除する前に家入っちゃってるよそれだったら掃除する意味ないじゃん」


「今日押し掛け女房していい?
てか夜這いしちゃう!」


「宣言しないでー!」


井原さんは不思議だ。

好きではない。てか苦手だ。


でも…。


僕の前にさっき取り上げられたマンガが差し出された。


「はい、マンガ。お気に入りなんでしょう?返すよ。」


井原さんは僕がほんとに困るような事はしてこない。


そんなところがあるから、
僕は井原さんを嫌いになれない。