「だって、高校はあの桜宮だよ!」

すると、菜乃の涙もピタリと止まった。

「だよね!桜宮!!」

桜宮というのは、この辺でも有名な桜宮高校のことだ。

桜宮高校は、私立の共学だ。私立でも、偏差値はそこそこあり、設備も整っているし、なにより制服が可愛いので、大人気の高校だ。

そこに、私と菜乃は、合格したのだ。

菜乃は頭いいから、結構楽に合格したのだけれど、私はギリギリスレスレのラインでなんとか合格できた。

親からも、

「大丈夫?例え合格しても、授業についていけるか心配じゃない?」

と言われたし、友達からも

「え、桜宮?制服はカワイーけどさ、ちょっとね~」

「さくらはウチらと一緒にもっとレベルのあったトコ行こーよぉ」

なんて言われたけれど、そんなの聞く耳を持たないで、断固として私は桜宮を目指し、一生懸命勉強して、受かったのだ。

そのときの私のテンションは、一生で一番高かったとおもう。

『嘘っ、312、あった!やったぁぁぁ!』

だから、正直言うと、卒業式が待ち遠しいくらいだったのだ。

はやく桜宮に入学して、あの可愛い制服を着て、桜宮の生徒になりたかった。