信じているけれどやっぱり不安に思うときもある。


だから、なるべく長時間大学にいてほしくないのが本音だ。


これを嫉妬だというのに気づいたのは最近のことだけど。


「気にすんな」

「え?」


顔を上げれば全て分かっているような蒼馬。


「心配しなくても離れないから」

「………うん」

「隣で寝とく」

「え?」


ニヤリと笑う蒼馬。


寝とくって……


「怒られないかな」

「俺を誰だと?」

「蒼馬様」

「ククッ、だろ?」


うん、蒼馬様だもんね。
クスクス笑いながら大学への道のりを歩いていく。





心には、もう傷はない。


綺麗に治った。
蒼馬のお陰だ。


温かい。


繋がれている手と同じくらい、それ以上に。


「あ、蒼馬」

「ん?」

「大和兄が今日おいでって」

「………え゛」






幸せだ。


あの頃のあたし、さようなら。





―END―