一生、そんな蒼馬には出逢いたくないと思う。
「お前ら、なにしてるんだ」
中々入ってこないあたし達に蒼馬が様子を見に来た。
一瞬、那祁の体が強ばったのをあたしは見逃さなかった。
「ちょっと話をしていただけよ」
ニッコリと笑って蒼馬に手を伸ばした。自然にあたしと蒼馬の手は繋がれる。
「んなの、座ってからしろよ」
「ふふっ秘密のお話だったのよ？」
「あ？なんだよそれ」
不満気に蒼馬は、ギロリと那祁を睨む。
「ちょ、別に秘密の話とかじゃないからね！！」
慌てて弁解している那祁に、あたしは可笑しくて声を出して笑う。
「恵里ちゃんっ」
「嘘だよ。」
「恵里？」
クスクスと笑いの止まらないあたしの頬を蒼馬が引っ張る。
