「――――ありがとう、那祁」
「、」
「那祁が気に病むことはないわ………茉里の事も、那祁が正しいと思う」
だって、お母さんが悲しむ。
もし茉里がいなくなってしまったら、きっとあたしだって悲しんだと思う。
血の繋がりのある姉妹なのだから。
「だから、ありがとう」
那祁は、くしゃくしゃに綺麗な顔を歪めながら、笑ってありがとう、と言った。
「なんであたしに言うのよ?」
「何となくだよ」
言いたくなったから。
笑う那祁ひ、時々痛みが走るのか眉間に皺を寄せる。
「その怪我、」
「ん?まぁ、言いつけ守らなかったからね」
苦笑する那祁にあたしは蒼馬がやったんだな、と思った。
(あたしの知らない、蒼馬がいる)
悪魔のような蒼馬が。