「お前には分からないだろうな。汚れきった心のお前には。」


恵里は、優しい。
あまり表情は表には出ないが気配りも出来る。
そして、心が綺麗だ。
何を言われようがされようが、その心が汚れることはない。
恵里のその良さは雰囲気にも現れている。その全てが、俺を引き付ける。


「いつも見ていたのは恵里だけ。お前なんか眼中にない」

「蒼、」

「お前が俺の名前を呼ぶな」


ギロリとにらめば、妹は肩を震わせた。
ポロポロと涙は止めどなくながれている。


「………っ」

「那祁」

「……なに?」


俺は後ろにいるだろう那祁に声をかける。那祁はすぐに応えた。


「こいつ、消せ」

「………恵里ちゃんの妹だよ?」

「違う」


こいつは、妹なんかじゃない。