痛みに顔を歪めるが力は緩めない。


「お前、女優にでもなれるんじゃないか?」

「な……に言って……」

「恵里の真似は簡単だったか?海江田茉里」


ククッと口元を弧を描いて見せると、妹は、痛みに顔を歪めながら小さく笑う。


「何言って……あたしは、恵里だよ?」

「ハッ違うな」

「何で?……クラスバッチもしてるのに、あたしが分からないの?」


首を傾ける妹。
駆け引きをしようとしているのか?
……残念ながら無駄だな。


「クラスバッチなんか恵里から盗めば使える。お前は、妹だ」

「………信じてくれないの?」

「お前を信じなきゃいけないのか?」


俺が信じるのは、恵里だ。


「…………どうして、分かったの?」


クスクスと、妹は笑い始めた。