至近距離に妹の顔がある。
少し動いてしまえばその距離はゼロになる、それほどに近い。


(これが恵里だったらすぐ押し倒すのに)


この状態でも考えるのはそれだった。


「蒼馬……キス、しよう?」


妖艶に微笑む妹に、俺はため息をついた。


「キス、したいのか?」

「うん」


ね?と妹が顔を近付ける。


物事には限度と言うものが存在する。
その限度が、今だと思った。


「そうか…………」

「?!きゃ、」


距離がゼロになる寸前でそれを避け、俺は妹を押し倒した。


「………で、キスさせると思ったか?」

「っ?!」


両手首を押さえつけてベッドに押しつける。妹は状況理解が出来ていないようだ。


「最高の演技をどうもありがとう」

「っいたっ」


ギリッと手首に力を込めた。