そんなことを考えていると、保健室にたどり着いた。
ドアには出張中の札がかかっている。
俺は、迷うことなくドアをスライドさせた。


閉めきられた窓。
僅かに香る薬品の臭い。
六あるベッドは全て中が見えないようにカーテンが引いてある。


「………恵里?」


恵里じゃないのに名前を呼ばないといけないなんて、な。


「蒼馬?」


六あるカーテンの一つからひょっこり顔を出した。
その顔を見た刹那、俺は落胆した。


恵里じゃないか、ともしかしたら少しは期待していたのかもしれない。


「大丈夫か?」


顔には出さず、恵里の妹に近づく。


「大丈夫だよ」


ニッコリと恵里の妹が笑う。
同じ顔、同じ髪型、同じ体型、似たような声だのにどうしてこんなにも違うのか。