シンッとした静けさが広がる。
小さな物音一つでも大きな音に変わるので心細さを感じる。
(寝ようかしら………)
寂しさをまぎらわすかのように毛布を首元まで引っ張って目を閉じようとする。
すると、傍らに置いていた携帯が突然震え出した。
予期せぬ事に心臓が飛び出るくらいに驚く。
「だ、だれ……」
鳴り続ける携帯を取って確認すると、今度は心臓が一気に冷えた。
「………茉、里」
それは、もしかしたら初めてかもしれない、茉里からの着信だった。
携帯を買ったときにお母さんが入れた家族の番号。恐らく一生使うことはないだろうと思っていたのに。
出るか、出ないか。
震える指先であたしは、通話ボタンを押していた。