「蒼真……っ」


思わず腕を叩いてしまったが起きる気配はない。その代わりに、ぎゅうっと強く抱き締められ密着する。


「寝ていても独占欲凄いな」

「っ……もう…」


呆れながら、あたしは、蒼真の柔らかい髪を鋤いた。


廉が帰ってくるまで、あたし達はのんびり他愛もない話をしながら過ごした。
それから、20分して、廉が亜理砂と一緒に帰ってきた。


「恵里ちゃーん」


両手を広げながら駆けてくる小動物に、あたしは掌を翳して制止する。


「恵里ちゃん……」


抱きつけなかった亜理砂は不満そうに頬を膨らませるが、あたしはジロリと見上げる。


「何かあたしに言い忘れている事があるんじゃない?」

「言い忘れ……?」


亜理砂は首を傾ける。